野党・人民党は、アヌティン首相率いる政府が推進する南部ランドブリッジ計画について、財政面・環境面での実現性が乏しいとして中止を求めた。この計画は、アンダマン海沿岸のラノーンとタイ湾沿岸のチュムポーンに新設される2つの大規模港湾を約90キロの輸送回廊で結び、混雑するマラッカ海峡の代替ルートを提供することを目指している。人民党のプッカモン議員は国会で「貨物を陸上で積み替える仕組みはコスト高で船会社にとって魅力がない」と指摘。政府試算では初年度に580億バーツの収益が見込まれるが、シンガポールの3倍以上となる燃料販売を前提にしており「非現実的な数字だ」と批判した。国家経済社会開発評議会の調査でも最大1,200億バーツの損失が予測されており、さらに漁業収入の年間10億バーツ減少や世界遺産への影響も懸念されている。過去2年間、セター政権やペートンターン政権は、明確な事業実現性のないままこの高額なランドブリッジを宣伝するため海外でのプロモーション活動(ロードショー)を推し進め時間を浪費してきたが、信頼に足る投資家は一人も現れなかった、とプッカモン氏は付け加えた。プッカモン氏は「政府は南部の票集めのために計画を利用しているに過ぎない」と述べ、残り任期が4か月の中で投資家を説得するのは不可能だと断じた。 【ここがポイント】タイ名誉党を率いるアヌティン氏が野党・人民党からの支援を受けて首相に就任し、アヌティン政権が発足しました。その政権で副首相兼運輸大臣に就任したのがピパット氏です。同氏は、9月17日にタイ名誉党本部にてタイ南部出身の議員団と面談した際に、ランドブリッジ・プロジェクトを推進すると明言しました。これを受けて本記事にあるように人民党議員が反対の意見を表明しました。現政権の任期は4か月しかないので、このような大規模プロジェクトが進むとは考えられませんが、実現性はともあれ南部ランドブリッジ構想がタイ政治の一つの目玉として生きていると改めて感じます。