タイで運輸相と財務相などを歴任したアーコム氏(67)が8日、バンコクで開かれた時事トップセミナー(時事通信社主催)で講演し、「世界で気自動車(EV)の生産量が供給過剰となっている。今後大きな問題に発展する」と懸念を示した。アーコム氏は東北部ムクダハーン県生まれ。1978年にタマサート大学経済学部を卒業後、当時の国家経済社会開発庁(NESDB)に入庁。2014年のクーデター後のプユット政権では運輸相と財務相などを務め、23年10月からは政府に法律面の助言を行う法制委員会の委員を務めている。アーコム氏は「タイ経済の展望とタイ日経済関係」と題した講演で、タイで存在感が増す中国のEVメーカーを念頭に「日本の自動車メーカーの苦しい状況はよく分かる。今後EVの道を進むかだが、水素という道もある」と述べた。また、EVに対してタイの消費者はメンテナンス費用や保険料の高さから購入をためらうようになったと指摘。「ハイブリッド車(HV)に目を向けている消費者が多くなっている」と分析した。アーコム氏は、世界的に進むサプライチェーン(給制)の再配置や中国企業によるテクノロジーの進歩、欧米で厳しくなる脱炭素対応を課題として挙げた。最後は、「タイは投資先として魅力的だ」と締めくくった。 【ここがポイント!】タイの新車販売マーケットは長い間日本車が9割以上を占めてきました。ところがこの2年の間に中国のEVが急激に販売を伸ばし、現在は日本車は8割以下に下がってしまいました。記事にあるように中国本土での余剰生産によるダンピングだけでなく、中国、タイ両国政府の補助金や昨今の脱炭素の動きが大きく影響しています。今後このままEVのシェアーが一本調子に上昇することはないと思いますが、日系自動車メーカーを頂点とするタイ製造業の構造は少なからず影響を受けると考えられます。市場の動向、メーカーの動き、政府の動きなど引き続き注視していく必要があると思います。