タイ名誉党は、与党・タイ貢献党がカジノ合法化を含む「エンターテインメント・コンプレックス法案」を国会から撤回したことに対し、「誠意がない政治的策略だ」と批判している。タイ名誉党報道官のソムチャイ氏は、「国会での敗北を避け、政府の退陣や議会解散を防ぐための撤回だ」と述べ、タイ貢献党が本当に国民の声を尊重するなら、この計画を完全に放棄すべきだと主張した。タイ名誉党は、閣僚ポストを巡る対立から連立を離脱し、現在は野党(69議席)に転じている。これにより、与党連立の議席数は261に減り、野党234と拮抗しているため、法案通過は不透明となっていた。今般政府は「国民の理解を得るための時間が必要」として7月7日に法案を撤回。再提出の時期は未定としている。この法案は、観光振興や外貨獲得を目的に、統合型リゾート(IR)内にカジノを設置する内容だった。タイ貢献党は、1000億バーツの投資と外国人観光客の10%増を見込んでいたが、世論調査では多数が反対し、想定以上の反発を受けていた。さらに、複数の政党や著名人が「ギャンブル産業は社会問題を悪化させる」として懸念を表明していた。【ここがポイント】昨年秋ごろから突然カジノ解禁の動きが始まり与党・タイ貢献党が法案成立を目指していました。ペートンタン首相の父タクシン元首相が積極的に推進する一方、仏教界、政界、世論には反対の声が大きかったです。カンボジア国境での武力衝突とフン・セン氏との電話会話の漏洩で、ペートンタン首相は職務停止に追い込まれ、タクシン氏も亡命からの帰国時の入院疑惑などで窮地に立たされています。そしてついにカジノ法案の撤回。同タイミングで6月末から大麻規制の厳格化が決まりました。大麻解禁を推し進めていたタイ・名誉党は連立政権から離脱し、同党党首のアヌティン氏は政権批判を強めています。タイ政治の対立軸の一つが浮かびあがっているようです。