タイの自動車生産台数は、国内販売と輸出の激減により、2024年に年間目標の170万台に達する可能性は低く、タイ工業連盟(FTI)は今年2度目の生産目標下方修正を検討することになった。FTI自動車部会は新しい目標を11月に発表する予定であると、FTI副会長で自動車部会のスラポン氏は述べた。今年7月同部会は目標を190万台から170万台に引き下げたばかりだ。7月に国内販売向け自動車生産目標を75万台から55万台に引き下げたが、輸出向けの自動車生産は115万台を維持した。しかし、「国内販売の生産目標はさらに下げるべきであり、今回は輸出向け生産目標も引き下げる必要があるかもしれない」とスラポン氏は述べた。同氏は、「9月の輸出の減少は、輸出先国の経済減速と中東での紛争の激化に対する懸念の高まりに起因する。米国、メキシコ、チリ、ドイツ、フランス、イタリア、日本、インドネシア、マレーシアへの輸出はすべて減少した」と述べた。自動車部会によると、9月の国内販売台数は低迷し、前年同月比37.1%減の39,048台となった。「この数字は、コロナ禍のロックダウン規制により販売台数が30,109台だった(2020年4月以来)4年以上ぶりの低さだった」とスラポン氏は述べている。 【ここがポイント!】タイの主力産業であり、日系メーカーの独断場だった自動車業界が不調です。タイの自動車生産能力は約200万台超と言われており、国内販売と輸出が略半々となっていましたが、国内販売台数はここ数年漸減しており、80万台から70万台で推移してました。その分輸出で補っており、2022年100万台、23年110万台を維持してきました。7月に国内販売台数が60万台を切る数字を出さざるを得ないほど国内の状況は悪いということですが、頼りの輸出も下方修正となる見通しとなり、タイの自動車業界は深刻な事態に直面してます。中国からのEV販売は頭打ちですが、今後中国本土の過剰在庫品が安値で販売されるようになると縮小する国内市場での過当競争が予想されます。このような中でスズキとスバルがタイからの撤退を決定し発表しました。国内市場がどこで底を打つか、日系自動車メーカーがどのように巻き返していくか、引き続き注視していく必要があります。