新しい憲法を起草するかどうかを問う国民投票をめぐり、賛成・反対の双方から関心が高まっているため、選挙管理委員会は1月25日に公開討論会を開くと発表した。参加登録は予想を上回り、40人が名を連ねている。登録者の内訳は賛成が30人、反対が10人。登録締め切り後、選管は両陣営から代表を各2人ずつ選び、放送は約1時間を予定している。登録者には元選管委員や与野党の関係者らが含まれている。アピシット元首相はFacebookに、憲法の第1章および第2章を改正する提案があるなら、それを「新憲法を全面的に起草するプロセス」の中に紛れ込ませてはならないと投稿した。第1章は、タイが「一つで分割できない王国」であり、民主主義体制で、国王が国家元首であることを定めている。第2章は王権について規定している。もしそれらの章を変更する意図があるなら、どのような改正を提案しているのかを明確に示すべきであり、そうした変更には別の国民投票が必要になると述べた。また、憲法改正は国家の体制を変えることはできないと述べ、過去には王制の地位に影響を及ぼすような法律改正の試みがあったとも指摘した。ラック・チャート党の首相候補であるジェード・ドナワニック氏は今回の国民投票で最も大きな問題は質問の作り方にあると語った。同氏は、有権者に対して「まったく新しい憲法を起草することに同意するかどうか」を問う一方で、変更の範囲や内容が具体的に示されていないという。憲法を章や条文ごとに部分的に改正していく方が、どの条項が変更されるのかについてより明確になると述べた。【ここがポイント】2月8日に実施される下院総選挙では、憲法改正を問う国民投票も予定されています。これは昨年、タイ名誉党党首のアヌティン氏が首相選出の際に野党第一党である人民党の協力を得るために提示した5つの条件のうち、国民投票の実施がその一つに含まれていたためです。過去に憲法改正を問う国民投票は2007年と2016年の2回行われましたが、いずれもクーデター後に実施され、憲法全文の草案が提示されてそれを承認するか否かを問う形式でした。今回は「新しい憲法を起草するか否か」を問う内容であるため、何をどこまで改正するかが争点になっています。タイは立憲君主制を国体としており、過去の憲法制定・改正でも国体は維持されてきました。人民党は憲法改正を掲げていますが、意図するのは王室の改革であって国体そのものの変革ではないと考えられます。今回の国民投票が思わぬ論点に飛び火しているのは意外に感じられます。