タイ憲法裁判所は7日、昨年の総選挙で王室に対する不敬罪の改正を公約に掲げたことは「国家転覆」に当たるとして、下院最大勢力の野党・前進党の解党を命じた。ビター前党首ら幹部の政治活動も10年間禁止した。タイの憲法裁は王室や軍といった保守層の影響が強いとされる。選挙で第1党となった政党が解党処分となったことで、タイの民主主義の在り方に批判が強まりそうだ。ピター氏は判決後の記者会見で「選挙で勝利した政権や政党がクーデターで倒されたり解党されたりするという悪循環を断ち切り、タイを完全に民主化するために最善を尽くす」と訴えた。憲法裁は判決で「選挙での不敬罪改正の利用は王室と国民を対立させることを意図しており、君主制を弱体化させる」と前進党を非難した。前進党は昨年5月の総選挙(定数500)で王室や軍の改革を掲げ、151議席を獲得した。王室や軍を支持する上院議員らの反発で政権樹立には失敗したが、高い人気を維持している。前進党の前身の新未来党も活動資金を巡って政党法違反に問われ、2020年に憲法裁から解党命令を受けた。今回の命令では、前進党のピター前党首やチャイタワット発前ら10名の幹部の政治活動も禁じられた。他の議員は、今月9日に発表される後継政党に参加し政治活動を継続する。 【ここがポイント!】事前に予想された内容とはいえ今回の解党命令は衝撃的なものと言えます。前進党は、野党第一党であると同時に下院において最大の政党です。タイは民主国家ではありますが、国民からの支持が一番高い政党を憲法裁が解党してしまう制度には首をかしげざるを得ません。前進党は、2020年に解党命令を受けた新未来党の後継政党ですが、またしても国民からの支持の高い政党を解散に追い込んだことになります。タイの憲法は何度も改正されており、現在の憲法は2017年に制定されたものです。この憲法の特徴の一つは、憲法裁判所や選挙管理委員会などの独立した機関の設置を規定しており、強力な権限を持たせていることです。本来、行政府の暴走を抑えるために設置された機関が、民主化を抑える役割になってしまってます。立憲君主制を基本とする憲法が存続する限り、今後も同様のことが起きると危惧されます。