タイ投資委員会(BOI)のナリット長官は25日、2024年上半期(1~6月)のBOIへの投資申請額が前年同期比35%増の4583億5900万バーツ(約1兆9000億円)になったと発表した。申請件数は64%増の1412件だった。同長官は、タイの健全な経済ファンダメンタルズや投資奨励策に対する信頼が高く、タイ向け投資は増加が続いていると指摘。BOIは下半期も積極的な投資誘致を進めていくと述べた。上半期の申請額の上位5業種は、電気・電子が1397億2500万バーツ、自動車・同部品が398億8300万バーツ、農業・食品加工が331億2100万バーツ、石油化学・化学品が253億4400万バーツ、デジタルが251億1200万バーツだった。経済構造の改革にとって重要な未来産業であるプリント回路基板(PCB)やウエハー、パワー・エレクトロニクス、スマート電気・電子機器、データセンター、自動化機器、再生可能エネルギー由来の発などが多く含まれた。また、外資系企業による申請は、件数が83%増の889件、金額が16%増の3257億3600万バーツだった。国・地域別ではシンガポールからの申請額が909億9600万バーツでトップだった。中国系シンガポール企業からPCB生産事業での大型投資の申請があったことが要因という。2位は中国の728億7300万バーツ、以下、香港395億5300万バーツ、日本299億8700万バーツ、台湾294億5300万バーツなどが続いた。一方、BOIは上半期に1451件、総額4762億7600万バーツの投資プロジェクトに、投資促進権の付与を承認した。前年比でそれぞれ37%、27%増加した。これら投資プロジェクトによる原材料の現地調達は年間で約2900億パーツに上り、年1兆3000億バーツ相当の製品を輸出し、10万人超の雇用創出につながると見込んでいる。 【ここがポイント!】タイ経済成長の大きな鍵は投資です。そのためタイ政府は投資奨励のため様々な制度や特典を投資家に用意しています。タイ投資委員会(BOI)は投資優遇策の具体的制度立案や特典付与、さらには海外投資家への誘致活動などを行う首相直轄の政府機関です。BOIへの投資申請は投資全てをカバーしているわけではありませんが、今後の動向を占う上での一つの重要な指標です。タイは自動車産業を基盤に経済を飛躍させてきましたが、この数年は投資申請・承認額における電気・電子関連の比率が高まってきてます。また海外からの直接投資(FDI)の国別比率では、長らく日本が第1位を占めておりましたが、中国、(おそらく中国資本の)シンガポール、香港の比率が高まってきています。米中摩擦の激化、EVメーカーの進出など今後もこの傾向が続く見通しです。タイ経済における日本企業の地位は揺るぎないですが、注視していく必要があると思います。