アピシット元首相は、カジノを含む「統合型娯楽施設(Integrated Entertainment Complex)」の設立を認める法案に強く反対の立場を示した。主な理由は、ギャンブル依存の増加、借金、犯罪など社会的・経済的な悪影響を懸念しているためだ。彼は、「ギャンブルは経済的自律を損ない、国民の借金問題を悪化させる」と述べ、特に現政権が無条件で現金を配るような政策を取っている中で、ギャンブルを奨励するのは非常に危険だと警告した。政府はこの法案により観光客の増加を狙っていると主張していますが、アピシット氏は「タイにカジノがないから来ないという外国人観光客はほとんどいない」と反論。カジノは観光の目玉にはなり得ず、国益よりも害の方が大きいと述べた。また、「統合型娯楽施設」という表現は、国民の反発を避けるための言い換えに過ぎず、実際にはカジノの合法化が目的だと指摘。さらに、カジノはマネーロンダリングや国際犯罪との関係も深く、すでにタイが直面している問題をさらに悪化させるとしている。アピシット氏は、ギャンブルによる社会問題への対策(予防やリハビリ)には目を向けず、不透明な制度設計で一部の権力者や利害関係者だけが得をする恐れがあると批判した。また、「中国は自国民のギャンブルを厳しく取り締まっており、タイでカジノが合法化されれば中国政府はタイに行く自国民に警告を出すので中国からのの観光客減少も懸念される」とも述べた。最後に、法案の通過には国民の反発や議会の審議によって時間がかかる可能性があり、仮に成立してもライセンス期間に制限(現状は30年)を設けるなどの見直しが必要だと述べた。 【ここがポイント】昨年突如カジノ合法化の話が政府から出てきました。国論が賛否二分する中で、タイの内閣は、合法的なカジノリゾートとエンターテインメント複合施設を設立することを目的とした法案を承認し、7月に議会に提出される予定です。可決されれば、上院の承認と国王の最終承認を得た後に法律として成立することになります。タイは伝統的に賭博には法律的に厳しい姿勢を取ってきました。ペートンタン内閣が早急に法案を通したがっている背景には父親のタクシン元首相がいると思われますが、世論も分かれ、反対する政党、国会議員がいる中で強行的に進めているとしか見えません。観光客誘致が目的との説明ですが、アピシット氏が言うように、カジノがなくてもタイに観光に行く人が殆どかと思います。