タイ保健省は、国内の大麻利用を医療目的に限定する方針へ全面移行し、現在営業している大麻販売店に対し、今後3年間で医療クリニックへ転換することを求める方針を明らかにした。これは、2022年の大麻非犯罪化以降続いてきた4年間の法的不透明さと政策の迷走に終止符を打つ動きとみられる。パッタナ保健相は、今後の大麻を扱うクリニックは医療施設法の規制下に置かれ、医師、タイ伝統医療の施術者、認定研修を修了したスタッフなど、適格な医療従事者の監督下での使用に限定されると説明した。現在、タイ国内には約1万1,000店の大麻販売店が登録されており、今後3年間で許可が順次失効する。年間約40%の許可が更新時期を迎える計算で、最終的には約2,000の医療クリニックが残るとの見通しが示されている。パッタナ氏は「どれだけの店舗がクリニックへ転換するかは断言できないが、大麻が医療目的に限定される段階へ完全に移行する」と述べた。また、政府は民間企業との協力にも前向きで、特に高品質な未加工の大麻花(原料用)への需要が強いことを指摘した。タイは2022年、アジアで初めて大麻を非犯罪化したが、包括的な法律や規制が整備されないまま販売店が急増し、観光地を中心に娯楽目的の使用が横行。住民からの苦情も相次いでいた。当時の非犯罪化は、タイ名誉党のアヌティン党首が主導した政策で、彼は保健相として大麻を麻薬リストから除外する省令を発出した。しかし、法整備が追いつかず、事実上の“野放し状態”が続いていた。現在も正式な大麻法は成立していないが、アヌティン氏率いる政権が今月中に発足したので、法的枠組みの明確化が進むとみられている。【ここがポイント】2022年、プラユット政権の時に現在の首相アヌティン氏が保健相として大麻販売を解禁しました。その後、バンコクを始め観光地などでは、大麻販売店が無秩序に大量開店し、国内の世論も賛成、反対で二分していました。アヌティン政権前のペートンタン政権の時に、タクシン派(タイ貢献党)が推進するカジノ法案と共に大麻販売禁止の方針も出されましたが、ペートンタン氏の失職によりカジノ法案は消え、大麻販売は医療用途限定の方針だけ残り法制整備は棚上げ状態となっていました。タイ名誉党は地盤のある東北部の農家収入を向上させることを狙いとして、いわば同党の看板政策としていましたが、政権与党となった今、世論の反発もあり、大麻問題に手を付けざるを得なくなったといえます。販売店の一部クリニック化は有効な対策といえますが、どのように実行されていくのか注視する必要があるといえます。