2日付のタイ現地紙によると、スリヤ副首相兼運輸相は、首相が交代してもタイ貢献党が引き続き政権を担当し、南部のマレー半島を横断する陸上橋「ランドブリッジ」の整備プロジェクトを継続すると強調した。スリヤ運輸相は、プロジェクトに関心を寄せているアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの港湾管理会社DPワールドと連携調査のため、共同作業部会を設置すると述べた。ただし、「同社を優先させるものではなく中国や日本などの企業からの投資も歓迎する」と強調した。運輸省運輸・交通政策計画事務局は南部経済回廊(SEC)関係法案を準備しており、2025年9月の施行を目指している。同法に基づいて設置されるSEC事務局がランドブリッジ整備プロジェクトを推進する。ランドブリッジはマレー半島両岸のチュムポン、ラノン両港を結ぶ鉄道・道路と港湾ターミナルを整備する大型事業で、官民連携(PPP)方式を採用する。運輸省は入札条件を示した提案依頼書(RFP)をまめ、26年上半期中に民間企業を選定する予定。 【ここがポイント!】タイの国土はインドシナ半島の中央部に位置している平原部分とマレーシア半島の南に延びる細長い部分がありますが、その半島の一番細いミャンマーとの国境を接する地域はクラ地峡と呼ばれています。このクラ地峡に東西の運河を掘り、アンダマン海とタイ湾を結ぼうという構想は以前からありました。プラユッド政権(民主選挙後、2019年~23年)では、運河ではなく、半島の東西に深海港を整備し、その間を鉄道、高速道路、パイプラインでむすぶというランドブリッジ計画が出され、タイ南部地域開発の主要プロジェクトと位置付けました。昨年の選挙で政権交代し、タイ貢献党のセター政権が誕生しましたが、このランドブリッジ計画を継承し、セター首相自ら海外からの投資を呼びかけました。セター首相失職後のペートンターン政権も継承し、南部開発の中心として計画をより具体化すると運輸相が明言しました。プロジェクトコストは15年間で1兆バーツ(約4.3兆円)と見込まれていますが、マラッカ海峡を経由ぜすにランドブリッジを経由する場合でどの程度のメリットがあるのか、国家主体ではなく、民間の資金を活用するPPP方式としてますが、海外を含めた投資家が集まるか、など不透明な点は多いです。今後の行方を注視していきたいと思います。